ジェロントロジーに関する耳寄りな情報 第21回(ジェロ・マガ Vol.21 [2021年12月22日]より一部抜粋)

このコーナーでは、ジェロントロジーに関連する、日々の生活や今後の生き方に役に立つ、あるいは「耳寄りな」情報をお届けいたします。

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今回は「介護ロボット」に焦点を当ててみたいと思います。

まず、ロボットの定義ですが、①情報を感知(センサー系)、②判断し(知能・制御系)、③動作する(駆動系)3つの要素技術を有する、知能化した機械システムのことです。
そしてロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器を「介護ロボット」と呼んでおり、厚生労働省では、経済産業省とともに「ロボット技術の介護利用における重点分野」を6分野13項目定め、その開発と導入を支援しています。
※参考 【介護ロボットの開発重点分野】

主な支援の1つに実用化支援事業がありますが、厚生労働省が商品化された介護ロボット等の導入活用事例を取りまとめています。
下記が2020年の事例集です。
【介護ロボット導入活用事例集2020】

私が興味深いと思った事例の1つに「comuoon(コミューン)」(P.80~)があります。
これは、非装着型コミュニケーション支援システムで、聴覚機能が低下した高齢者の方とのコミュニケーションをアシストするロボットです。
聴覚が低下すると、介護を行う方が大きな声を出さなければならず、日常的な負担になりえます。また介護を受ける人にとっても大きな声に萎縮してしまうこともあると考えられますが、このロボットで画期的だと感じたのは、このロボットが大きな音声を出すロボットではなく、特許技術によって、音素を高精細し、音質の高い音を発し聴覚機能が低下した高齢者にも聴きとりやすい音を実現していることです。
また、バッテリーを搭載した持ち運びのしやすい大きさで、多くの施設で導入されており、導入によって施設内でのコミュニケーションがかなり向上したという評価が多いようです。

今後ますます高齢化が進行する社会において、介護現場の人材不足も加速化していくのは明らかです。
また、介護現場で働く人の体力的・精神的負担も問題となっており、介護ロボットの実用化は、これらの問題の1つの解決になってくれることが期待されています。
一方、導入には課題もあり、普及率が低いためにロボット自体の単価が高く、コストがかかること、また介護現場で使用されるロボットには、安全性についての配慮がより一層求められています。
普及を進めていくためには、介護ロボットのユーザー(利用者)のニーズに合った開発を進めながら、利便性と安全性を担保していくことが必要だと思います 。

現在介護を必要としている人にとっても、そうでない人にとっても、介護ロボットの実用化は将来において大きな関心事の一つだと考えられます 。
介護ロボットに限らず、今後のサービスロボットの実用化と普及について、注目していきたいと思います。